気付けば、君の腕の中。


一つお土産として貰い、もう一つは今食べることにした。

「それにしても、五十嵐くんは貴方に優しいのねえ…。青春、というものかしら?」

「ええ…? 五十嵐くんが? ないですよ」


大げさに両手を横に振ると、くすりと笑う清水さん。

た、確かに頭を撫でてくるときだけは優しい気がするけど…。


「ふふ、五十嵐くんの妹さんはとても大人しい子なの。だから、あんな泥だらけになるなんて珍しいから、凄く驚いていたと思うわ」

「他の子たちのお母さんも驚くでしょうね…」


みんながあたしの真似をして、泥だらけになるとは思わなかった。


「でも絢華さん。夕方に会ったときよりも楽しそうでよかった」


あたしは緑茶を一口飲むと、首を傾げた。


「…あまり、笑顔が上手ではないと思ったのよ」


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