気付けば、君の腕の中。


一度しか踊りを見ていないはずなのに、簡単そうに踊ってみせる五十嵐くん。

あたしは驚きのあまり、言葉を失った。



「へー! あやかよりうめえじゃん!!」

「おにいちゃん、すごーい!」

「…こんなん、簡単」


ドヤ顔で五十嵐くんがあたしを見てきた。

むっと唇を尖らせると、白くんが「なあ、おれとあやかにおしえろ!」と五十嵐くんの袖を引っ張った。


「え、あたしも?」

「おう! あやかは1人じゃぜんぜん、じょうたつしねーからな!」

「よくそんな難しい言葉を知ってるね…」


で、でも相手は五十嵐くんだ。

彼に頭を下げるなんて、屈辱的過ぎる…!


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