気付けば、君の腕の中。
新幹線に乗ると、指定席に座った。
早速鞄からお菓子を取り出す奈々美は、中学生のときから何も変わらない。
朝からどら焼きを頬張る奈々美に苦笑すると、あたしの分も買ってあったらしい。
有難く貰うと、封を切って甘い生地にかぶりついた。
「んむっ、おいひい…!」
「でしょー? うち、和菓子のお店で働いてるんだよね。基本接客だけど楽しいわよ」
和菓子のお店かあ…。清楚なイメージがある奈々美にはぴったりだ。
「向こうに着くまで2時間くらいはあるし、折角だから絢華の恋バナがどうなったのか教えて頂戴よ」
「ええっ? …と、特にないけど…」