気付けば、君の腕の中。

+ 真っ赤な愛が咲いた



…何で、こうなったのだろう。

突然陰輔くんが花火大会に行こうと誘ってきたのだ。


まず、それに驚いたけれど、そもそもあたしは花火大会なんて行ったことがなかった。

浴衣なんて持っていないし、可愛らしい服だってお金がないから買えない。


そんなあたしに奈々美が「うちの浴衣貸すよ! 元々着る予定がなかったし」とのことで、借りることになった。


わざわざあたしの家まで来て、奈々美が手際よく着せてくれたおかげで、花火大会には十分間に合った。


いきなり写真を撮られて「坂木に見せる」と言い出したときには、酷く動揺したけど、多分消してくれたはずだ。


学校の最寄駅で待ち合わせをしたため、そこへ向かうと既に陰輔くんがいて焦った。


あたしがあわあわとしている間に、陰輔くんが目の前まで来て、手を握ったから、冒頭のような言葉が脳裏に浮かんだのだ。


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