気付けば、君の腕の中。
息を吐き出して、買ったばかりの飲み物を握り締めると、絢華の元へ向かった。
「あ、ありがとう! よくイチゴミルクの缶ジュースなんて売ってたね」
「絢華なら好きだと思ったんだ」
「…そ、そっか!」
“好き”と言う言葉に、頬を赤く染めた絢華は、きっと俺の見間違いではないだろう。
「まず……、一ノ瀬とは別れたよ」
「えっ、あ、そう…なんだ…」
バッとこちらを見た絢華は気まずそうに視線を逸らした。
…本当に友達思いなんだ、絢華は。
「で、でも…前にき、……何か噂が広まってたけど、あれは、本当なの…?」
絢華は自分の持っていた缶を握り締めると、微かに震えていた。