気付けば、君の腕の中。
だけど…、一ノ瀬はちゃんと俺と向き合おうとしてくれたんだ。
「肩を震わせながら…、苦しい、辛いって一ノ瀬に言われたときは、本当に動揺した」
また「独り」になってしまうのかと、そう思って慰めようとした。
「俺の手を振り払った一ノ瀬は、目に涙を溜めて…俺の感情を引っ張り出した」
“絢華と話せないのが苦しいって思ったら…、それは恋なんだよ、坂木くん”
「目の前の靄(もや)が吹き飛んだような気持ちになった。…初めての感情に名前がついたんだ」
ようやく認めることが出来た感情に、俺は素直に喜べなかった。
それもそのはずだ。本当は…喜んではいけないのだから。
“…坂木くん、私の望む言葉分かるでしょ?”