気付けば、君の腕の中。


そのまま後ろへ下がった凜くんは、腕をぱっと広げた。

え、え?


あたしから抱きつけって言ってるの!?


「そそそそ、そんなのっ恥ずかしいよ!」

「…じゃあやだ。許さない」

「ええっ…こ、困ったなあ…」


段々と腕を下ろし始める凜くんに、あたしは意を決して足を前に踏み出した。



「はは、絢華真っ赤だよ」

「っ……は、恥ずかしいんだって」

「…うん、やっぱり絢華が腕の中にいると落ち着く」


そう言った凜くんは、さっきよりも強く抱きしめてきた。


―…気づけば、いつも凜くんに抱きしめられていた。

これからも…、この腕の中に、閉じ込めてね、凜くん…!




END

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