天空に一番近い蒼~女子校体育教師と生徒の恋の場合
私はおずおずと先生の小指に自分のそれを伸ばす。

が、絡めるのを躊躇って手が止まる。



すると、

「ほら!」

と先生の方から小指を絡め、ぐいと引っ張られる。



「あっ!」

「指切りげんまん、嘘吐いたら~…

んー…



なぁ?嘘吐いたら、何してもらおっか?」



「…へ?」



「まぁ青海嘘吐かないと思うし、そん時までに考えとくか。」



先生は悪戯っこみたいににやっと笑う。



「!」

意外と可愛い表情をすることに不意を打たれる。



「行こうか。」



先生の指が離れる。



(あ…)



その瞬間、僅かな喪失感にも似た疼きが胸の中に生まれたのを感じた。



(もう少しだけ…)

その小さな温もりを感じていたい…



直ぐに歩き出せない私に先生が振り向く。



「大丈夫か?」

「…ん」



俯くように小さくだけ頷いた私の背に先生が手を添えてくれる。



「さっき言ったこと、本気だから。

俺で良けりゃいつでも話聞くから。



青海のこと、守るから。」



背中の掌とその言葉があったかくて、じんわりと胸にまで染みてくる。



先生に促され大好きな屋上を後にする。

でも今はそれさえ気にならない。



『青海のこと、守るから』─



その言葉の余韻だけで、もう少しだけのどやかでいられそうな気がしたから─

      *  *  *
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