天空に一番近い蒼~女子校体育教師と生徒の恋の場合

キィ…



(!!)



外付けの螺旋の非常階段へと繋がる扉の音にはっとしてそちらに眼を向けた。



ここで過ごすのが日課になって一年以上経つがこんなことは今までなかった。

だって屋上は立ち入り禁止なのだから。



キキィと軋む音を経てて金属製の重い扉が開く。

そこに姿を現した人影は



(…仁科先生?)



体育教師の仁科蒼介だった。





仁科先生は去年の春からうちの学校に赴任してきた。

歳は20代後半くらい、見た目はいかにも体育教師という感じで筋肉質で長身、髪は短髪にしている。



他の学年を担当しているので直接面識はないが、噂には聞いている。

『明るくおおらかで女生徒から人気がある先生』



そう言えば聞こえが良いが、ノリが良くていい加減、しかもチャラい、ということだ。およそ教師に似つかわしくない性格。



それもそのはず。彼は実はうちの学校の正規の職員ではない。

育産休中の女性教師の代理で来ている。



本業はスポーツクラブのインストラクターで、ベテラン体育教師の山本先生が知り合いのスポーツクラブに頼んで連れて来たらしい。

そのことはまぁ公にはなっていないのだけど。
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