天空に一番近い蒼~女子校体育教師と生徒の恋の場合

「あれ?」



仁科先生が私の姿を見つけて声を上げる。



「何やってんの、お前。ここ、立ち入り禁止だけど?」



面倒臭いことになったな、と私は胸の内で舌打ちした。

とりあえずここは賭けに出よう。



「先生こそ何やってるんですか?ここ、立ち入り禁止だけど?」



「え?俺?」



そう言うと先生はにやりと笑う。



(?)



そして先生はこちらに近付きながら、紺のウィンブレパンツのポケットから何かを取り出した。



「俺はこれ。」



「煙草?」



「そ。」



先生は私の隣まで来ると、開いたパッケージから手慣れたように1本取り出す。



「職員室の裏に喫煙スペースあるでしょ?そこで吸えば良いのに。」



私の貴重な幸せな時間を誰かに邪魔されたくない。

その気持ちがありありと言葉に出た。



が、先生はそんな私の棘っぽい言葉を気に留めるでもなく返す。



「えー!だってあそこ、山本先生もいるんだもん。落ち着かないじゃん。」

「知らないよ。」



先生は煙草に火を付けて、私の隣に座り込む。



「煙たい?」

「うん。」

「そうか。」



自分で聞いてきたくせに煙草を消すでもなければ移動するでもなく、何事もないように先生は煙草を吹かし続ける。

私もまた、別段煙草が煙たかったわけでもないので放っていた。
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