【完】麗人、月の姫



【side美麗】


いつも通りの通学路。


見慣れた景色。

そんな道を帰っていたとき。


「…………………誰?」


目の前に現れた変な服を着た同じ年くらいの男の子が現れた。


「……………………ごめん」


よく分からないが、とても切なそうに私に謝る。

「うーん……………たぶん人違いじゃないかな?」


申し訳ないけど、恐らく絶対人間違ってる。


「じゃあね」

私がそう言って通り過ぎようとするが、腕を掴まれ、行くことが出来ない。

「え?なに?」

急に掴まれて少しの恐怖が私に襲いかかる。


まさか不審者!!??


「あの………………………」


「記憶を消して………………ごめん」

どうゆう意味?新手の詐欺?


「意味が分からないんだけど」


戸惑う私。


だけど触れている部分から何かが流れ込む感覚。


これは………………………………あぁ。

そうか。


あなたは…………………………。



「……………………透真くん」


「遅えよ」


いや、あんたが記憶を取ったんでしょうが!!!


「私の記憶、奪ったんだね」

そう思うとちょっと悲しい。

「それは…………………ごめん。お前には帰るべき場所がある。それに、お前と一緒にいたら俺が辛くなるから……」


どうゆう意味?


「自分勝手で記憶を奪ったこと許してほしい」


………………………よく分かんないけど、透真くんにも事情があったのかな?


「………仕方ないなぁ」

全てを思い出してやっぱり悲しくなることもあるけど…………忘れたときに比べたら軽い。





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