ある雪の降る日私は運命の恋をする‐after story‐
過呼吸気味な呼吸音と、すすり泣く声が続く。

前苑は、少し落ち着いたら出るって言ったけど、あれから15分は経った。

「前苑ー、大丈夫か?呼吸、苦しそうだけど」

さっき声をかけて以来、はじめて声をかけてみる。

すると、布団から少し手が出てきて、俺の袖をキュッ握った。

「く……るし…………助け…て」

俺は、危険を感じた。

前苑が言うってことは、そうとうだ。

「ごめんな、前苑、苦しいから布団捲るぞ」

そう言って布団を捲ると、ベッドは涙でびしょびしょ。

前苑は、苦しそうに呼吸している。

「前苑、ゆっくり深呼吸。ちょっと、先生呼ぶな。」

前苑の背中をさすりつつ、ナースコールを押して担当の先生を呼ぶ。

少しすると、看護師さんが来て、先生は来れなかったようだが、看護師さんが、精神を安定させる薬と、酸素マスクを持ってきてくれた。

「前苑ー、ちょっと痛いって。大丈夫だから、落ち着いててな。」

そう言って、まだ震えている前苑の手を握ってあげる。

注射が刺され、前苑は少し驚いて、動こうとするも、俺が抑えてるから動けないようだ。

「前苑、大丈夫。大丈夫。前苑を傷つけるやつはいないからな。」

清水先生に教わった、前苑を落ち着かせるための言葉というものを言ってみる。

……すると、本当に前苑は少し落ち着いて、薬も効いたのか、呼吸も安定してきたようだ。

「前苑、大丈夫か?」

コクン

少し、背中をさすってやると、前苑は、眠たそうに、目を細めた。

でも

「…ぃゃ……………寝たくない」

そう言いながらも、前苑は眠たげで、コクリコクリとしているのに

「……寝ない……………」

と言って、目をこする。

「眠いなら、寝てもいいんだぞ?」

そう言うと、前苑は首を横に振った。

「寝たら……また、嫌な夢見ちゃう…迷惑も…………かける……」

そう言って、悲しそうな顔をする前苑に、俺はかける言葉が見つからなかった。
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