ある雪の降る日私は運命の恋をする‐after story‐
熱は36.4

平熱だ。

脈も問題なし。

次は……

「朱鳥、次、聴診するね。服めくって貰ってもいい?」

コクン

そう頷いて、朱鳥は小さく服をめくってくれる。

「ちょっとごめんね、体、触るよ」

コクン

手で温めた聴診器を朱鳥の様子を見るように、まずはお腹にあてる。

ピクッ

少し反応している。

我慢してくれてるんだろうな……

胸に聴診器を当てるとさっきよりも大きく反応して、朱鳥は小さく震えはじめる。

「朱鳥、大丈夫?震えてるけど…。今日は、もうやめておこうか?」

コクコク

そう何度も首を縦に振る。

俺は、手早く聴診器を離して、仕舞った。

まともな聴診は出来なかったけど、しょうがない。

こればかりは、朱鳥に合わせてあげるしかできないから。

「よく頑張ったね。偉い。」

そう言って、朱鳥の頭を撫でてあげる。

朱鳥は、少し涙を流していた。
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