ある雪の降る日私は運命の恋をする‐after story‐
帝王切開に切り替わって、手術室に入った。

楓摩は、手術室の前で待っててくれている。

あと少しで…赤ちゃんに会えるんだ……

そう思うと、少しだけ不安も薄れたような気がした。

「朱鳥ちゃん、赤ちゃん産まれますよ」

私はコクンと頷く。

「じゃあ、少しお腹を押しますね」

お腹の方が少しググッと押されたような気がして、それから先生はゆっくりと赤ちゃんを取り出した。
















だけど

あれ……泣かない?

すると、先生は手早く臍の緒を切り、もう一人の先生に渡す。

それから、その先生はなにやら小さなベッドのような所で赤ちゃんになにかしている。

…私は、不安でいっぱいになった。

赤ちゃん、大丈夫なの?

泣いてないけど……

なにしてるの?

赤ちゃんは…赤ちゃんは……







「オギャー…オギャー」

その時、少しか弱い産声が手術室に響き渡った。

その瞬間、周りの空気が緩んだのがわかった。

それから、先生は、タオルに包まれた赤ちゃんを私の隣に寝かせてくれた。

私は、赤ちゃんの手の方に手を伸ばした。

赤ちゃんは…いや、柚月は弱々しくも、キュッと私の指を握ってくれた。

「おめでとうございます。元気な男の子ですよ。でも、少しだけ様子を見たいので、少し預かりますね。」

私はコクンと頷いた。
< 31 / 418 >

この作品をシェア

pagetop