【完】壊愛ー姫は闇に魅入られてー
「...神庭はどこにいるんだ?」
「たぶん...夜季の倉庫」
「クリスマスなのに、紬ちゃんほったらかして何してんの...?」
「...知らない。
圭から電話があって、昨日の夜出ていってから帰ってこない」
「...そっか」
「...」
私の気持ちを察したのか、それ以上聞かない山崎君は空気が読める奴だ。
山崎君がスマホでタクシーを呼ぶ。
数分後に到着したタクシーに山崎君と2人で乗ると
タクシーの中までクリスマスの飾りつけがされていて、ちょっとだけ憂鬱な気分。
タクシーの運転手がバックミラー越しに私達をチラチラ見てきて
「クリスマスにデートなんて。
彼氏さん、出費大変だろー?」
なんて。
冷やかしを入れてくるから、もう最悪。
「早く出して。」
行き先だけを告げて、腕を組みながら窓の外だけを見つめる。
車内は無言。
あからさまに不機嫌になる私に、山崎は何も言ってこなかった。