【完】壊愛ー姫は闇に魅入られてー
×××
「ありがとうございましたー」
夜季の倉庫の近くにタクシーを止めてもらって降りる。
こんな山の麓(ふもと)でタクシーから降りるなんて、クリスマス関係なしにおかしいと、怪しがりながらも山崎君からお金を受け取る運転手さん。
きっと、面倒事には巻き込まれたくないんだろう...
逃げるように走らせたタクシーの姿は、もう見えない。
...なにか犯罪するわけでもないのに...馬鹿みたいあの人。
「んーーー!!!!はあー...やっぱり外は気持ちいいね?」
「...そう?寒いだけじゃん」
「......。
あっ、山崎君、タクシー代ありがとう、払ってくれて」
「いいよ別に。
紬ちゃん、お金持ってなさそうだし」
「へへ...当たり〜」
ついに夜季の倉庫前までやってきた。
相変わらずシャッターは閉まったまんまだけど。
ここまで来たら...もう後戻り出来ないからね、山崎君。