【完】壊愛ー姫は闇に魅入られてー
からかってるのか、それとも本気なのか。
流の言動すべてが私を困らせる。
「寒すぎてヤベーから、俺さきに風呂入ってくるわ」
隣に座ったかと思えば、ほら、そうやってすぐ離れてしまう。
付き合ってから...なんか、私の方が好きで嫌になってくるよ。
別に流自体に不満があるわけじゃないけど...
「はぁ...」
深くため息、ついでに深呼吸なんかしちゃって。
へこんだり膨れたり、空気を吸って吐いてを繰り返す私のお腹さんは最近忙しい。
甘えたいし甘やかしたい。
それにちゃんと...体だって繋がりたい。
でも流は手を出してこない。
隣に彼女がいるのに、眠ってるのに。
なんって誠実な男なんだろうって、感心する部分だってもちろんあるけど。
問題はそこじゃない。
問題は...流が過去に付き合ってた女の子たちのこと。
顔もいい、性格だっていい...
いや、うん、変なとこが多いけど。
あの男、どう見たって絶対遊び慣れてる。
「ど...どうしよう...もし私のこと本当は好きじゃなくて...圭のときみたいに遊びだったら...」
好きだから余計不安にもなるし
私の過去の恋愛のキズはまだ癒えてないみたい。
不安で不安で仕方ないのも、きっと
ちゃんと流のことが好きで、流のことを求めてるからなんだ...。