【完】壊愛ー姫は闇に魅入られてー






差し出した手を素直に握ってくれた優美。

優美から伝わってくる体温が温かくてなんだか泣けてきた。



話せばほんと普通の子で
なんでこんな子がいじめられてるんだろうって、考えたら考えただけ切なくなった。





「で?なんでお前いじめられてんの」



風の向きが変わった。


容赦ない流の質問に黙り込む優美。



流は人の心に土足で踏み込むのが上手な男だ。



二本目のタバコを吸う彼から、苦い匂いが漂ってきた。




「ゆ...優美、言いたくなかったら言わなくていいから、ね?」




「ううん...大丈夫だよ。
でも...あの。ごめんなさい...今は言えない」



「...」




目を逸らす優美

震えた声でそう言われちゃ無理に聞くのもどうかと思ってぎこちない笑顔だけで返事をした。




空もだいぶ黒に染まってきたところで、結局優美のいじめの原因は分からないまま帰ることに。




「本当にありがとう...2人とも。
私、今生きててよかったって...自殺しようとしたこと後悔してるよ。
やっぱり親に死に顔見せるのは辛いし、死んだ後だから後悔出来ないもんね...」




数分で変わった優美の心境の変化に喜びを隠せない。


嬉しくて...でもやっぱり切なくて



「優美...ほんと、頑張ったね...」




包み込むように優美を抱きしめた。




優美は私の肩に顔を乗せ声を押し殺して泣いていた。




...人って、本当に罪深い生き物だと思う。



優しくしたり、甘やかしたり


時には牙を向いたり。




...ほんとよく分かんないよね、人間って。






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