【完】壊愛ー姫は闇に魅入られてー





「あの...本当にありがとうございました...」





フェンスをよじ登って、安全な場所に戻ってきた2人。




赤くなった目元を指で触りながら
落ち着いた彼女はどこか清々しい表情を見せた。




「フッ...さっきとは顔色が違うな。
泣いてスッキリしたか?それとも死ななくて済んでホッとしてんのか?」



「ちょっ流!!!!」




意地悪な事を言う流に対して彼女は笑う。



...いらない心配だったかな?


だってすっごく素敵な笑顔なんだもん



ちょっとキュンときた。





「本当にありがとうございました。
あの、もしよかったらお名前教えてください」



「名乗る程の者ではない」


「私は西条紬!」


「えっ、ムギちゃん素直に教えちゃうの?
そこはカッコよく立ち去ろうぜ」


「もう!流うるさいよ!
ちょっと黙ってて!!」



せっかく友達が出来そうなのに邪魔してほしくない。



「ムギィ〜冷たくすんな〜」と、私の背中にグリグリ頭を押し付けてくる流を無視して彼女の方に顔を向ける。




「紬さんか...よろしくね?」


「"さん"付けなしでいいよ!!
制服のリボン、ピンク色だから同じ学年だし。
あっ、あなたの名前?」



「私は平岡優美(ひらおか・ゆうみ)。
優美って呼んでね?」



「うん!よろしくね優美!!」



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