【完】壊愛ー姫は闇に魅入られてー




からかわれて、顔が赤くなって。

トマトのように甘酸っぱく口の中で弾けるような、そんなキスをいきなりされては
笑えない今の状況でも、頭の中が流で満たされて、すべて安心できる。




「俺に身を委ねてろよ、ムギ。
俺の傍にいれば、嫌なことすべてから守ってやる」




甘やかされてるだけじゃダメだって分かってても
甘い台詞がその綺麗な口から出る度に、自分は女の子だって認識させられてるみたいで


ちょっと恥ずかしいけど。




「流の、ばーか」



照れ隠しでそう言うと、流の口角が上がった。


コンクリートを固め作った、あの日から今まで立ち止まったままの電柱に付いている街灯が、パッと夜道を照らす。



「なんも、心配いらねーからな、ムギ」



言いながら、私の頭をポンッと軽く叩いた流の顔つきが一瞬で変わり。



きっと...ううん、本当の本当に決断したんだね。



それじゃあもう、止めないよ、私は。










< 333 / 390 >

この作品をシェア

pagetop