【完】壊愛ー姫は闇に魅入られてー
からかわれて、顔が赤くなって。
トマトのように甘酸っぱく口の中で弾けるような、そんなキスをいきなりされては
笑えない今の状況でも、頭の中が流で満たされて、すべて安心できる。
「俺に身を委ねてろよ、ムギ。
俺の傍にいれば、嫌なことすべてから守ってやる」
甘やかされてるだけじゃダメだって分かってても
甘い台詞がその綺麗な口から出る度に、自分は女の子だって認識させられてるみたいで
ちょっと恥ずかしいけど。
「流の、ばーか」
照れ隠しでそう言うと、流の口角が上がった。
コンクリートを固め作った、あの日から今まで立ち止まったままの電柱に付いている街灯が、パッと夜道を照らす。
「なんも、心配いらねーからな、ムギ」
言いながら、私の頭をポンッと軽く叩いた流の顔つきが一瞬で変わり。
きっと...ううん、本当の本当に決断したんだね。
それじゃあもう、止めないよ、私は。