蟻とくそ

「…なんとか言えよ!!」

また北山くんに怒鳴られる


今度は三人は振り向かなかった


咀嚼しきれていない頭で必死に返す言葉を考える


僕は告白してきてくれた舞子さん(名前知らなかった)のことが愛せないと思った

好きじゃないから断った


北山くんは

僕が舞子さんに思わせぶりな態度をとっていたにも関わらず
告白を断ったことに怒っている


…思わせぶりな態度?


北山くんを見つめる


「挨拶してくれたら笑顔で返すのが普通じゃないの

困っている人がいたら助けるのが普通じゃないの」


全部ユキヤが教えてくれたこと


ユキヤとの思い出が詰まったスマホをギュッと握りしめた


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