蟻とくそ
北山くんが周りを見渡す
さっき噂をしていた女子たちは
もう教室にはいなかった
教室には
1つの机に群がり漫画を描いてる女子三人と
北山くんと僕だけ
「…おまえ舞子ちゃんに挨拶されてデレデレ返してたし
舞子ちゃんに折り畳み傘貸してあげてたくせに
思わせぶりな態度で舞子ちゃんの心もてあそんでおいて
告白断ってるんじゃねーよ!」
ガンッ
興奮した北山くんは僕の机を蹴った
蹴った机の脚が僕の脛に当たった
痛いなあ
漫画を描いてた三人が僕たちの方へ注目する
数秒僕と目があったけれど
あっけなく漫画談義が再開された
北山くんに捲し立てられたことが自分の中でうまく咀嚼できなくて
脛の痛みと
漫画を描いてた三人の顔がなぜか頭の中でグルグルしていた