◆中学生物語◆
桃子は、重い口を開くようにして言った。



「…実はさ、体育のとき…優歩があんたと翔太が話してるところ…見てたかもしれない」



「…え!?それ…ホント!?」



衝撃の事実。



―…そんなこと、全然わからなかった。



…どうしよう!!あたし…優歩になんかされちゃうかも…!!



…そんな予感が、あたしの頭を過ぎった。



「…かもしれないって話だよ。…だって、何やら1人教室の窓のほう見てしかめ面してたもん。たぶん、みずきたちのこと見てたんじゃないかな…」



「…どうしよう…あたしヤバイかも…」



…冷たい汗の雫が、あたしの頬を伝う。



…不安になってきた。握る手も汗で滲む。



桃子が、慰めるようにあたしを宥めた。



「…だ、大丈夫だって。そんな真剣になんなくったって。いくらあいつらでも、そんな大騒ぎはしないでしょ。明日になれば向こうも忘れるって」



「…そう…だよね…?」



桃子の言葉を聞いて、まだ安心したわけじゃないけど少しずつ感情が納まっていくのがわかった。
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