トライアングル・キャスティング 嘘つきは溺愛の始まり
「いやーそれほどでも。」


「褒めてねーよ。


……さて、こっちは完了したから、運ぶの手伝ってくれ。」


篤さんがキッチンに入るとすぐに「うわっ」と驚いていた。


「想像してたより凄すぎるんだけど、何これ!?」



「酒に合いそうなものを適当に、だよ。


蛸のカルパッチョと、トマトとサーモンのブルスケッタは前菜だな。メインは平目の香草焼きとブイヤベース。あとは適当にフルーツ……は食後でいいか。」


「やばい全部旨そー……。拓真にこんな才能があったとは知らなかった!」


篤さんは早速ワインを開けている。


「瑞希はノンアルのカクテルで我慢しとけよ。」


そう言って兄が手渡してくれた華奢なグラスには、さっき買ったライチとグレープフルーツが飾られていて、口をつけるのが勿体無くなるような綺麗さだった。
< 108 / 235 >

この作品をシェア

pagetop