トライアングル・キャスティング 嘘つきは溺愛の始まり
背中を支えられてデイベッドに仰向けになると、視界いっぱいに星空が広がった。でもその綺麗な景色も兄の声ですぐに意識から消える。


「俺は瑞希にずっと翻弄されていたんだ。


でも意外と押されると弱いんだな、良いことを知ったよ。」


「私はお兄ちゃんがさらっと甘いこと言うなんて知らなかった……。

予想外過ぎて、心の準備が追い付かないよ。」


「全部見せてって言ってくれたのは瑞希だ。

全部、受け止めてくれるんだろ?」


兄は言質は取ってあるとでも言うように強引な態度を見せる。まるで私の知らない顔。だから全然見惚れてしまうんだ。


「……うん、そうだよ。」


兄の唇が重なり、圧倒されるような熱の渦に引き込まれる。ゆっくりとした柔らかなキスなのに、狂おしさが溢れるような。

兄の舌を追いかけるように絡めて、もっと、とせがむように口を開くと、さらに深い口づけに変わっていく。


ドキドキして、少しだけ怖くて、目眩がするほど幸せなキス。


「……っ。お兄ちゃん……」


「この状況でそう呼ばれると、罪悪感を刺激されるんだけど……」
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