トライアングル・キャスティング 嘘つきは溺愛の始まり
眩しく照りつけるライト


見たこともないような、大きなカメラや機材



せわしなく駆け巡るスタッフの人達



非日常の世界に、私はただ圧倒されるばかりで。



「表情固いよ、もっと普段通りでいいから。」



出来るだけ普段通りに笑えるよう、口角を上げてみるけれど



「全然目が笑ってないから。友達に会った時を想像してニッコリして。」



意識すればするほど、どうやって笑えば良いのかわからなくなる。


…………


スタジオに着くなり、山瀬さんという方に連れられて、あっという間に衣装とメイクを整えて撮影に入った。


「素人なのは分かってるから、なんにも意識しないでカメラの前に立って」



そう言われてカメラテストが始まったものの、どうやら私は、期待通りにはできていないようだ。



背中が大きく開いたミニのワンピースの衣装も、気恥ずかしくて居心地が悪い。



それでも何とかこのテストをパスしたい、そう思って表情を作り直していると、山瀬さんが思案するように呟く。



「やっぱり、相手がいた方がいいかな……。」



スタッフの人に指示をしたようで、一人のスタッフの方がスタジオを走って行く。
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