トライアングル・キャスティング 嘘つきは溺愛の始まり
「この話は無かったことにしてください。」
兄が企画書を閉じて山瀬さんに突き返す。
「あら、怖い顔。でも拓真の意見は聞かないわ。瑞希さんから承諾は貰ったの。あとはクライアントが決めるかどうかよ。」
兄も山瀬さんも、一歩も引かない剣幕だ。
私が決めたんだから、きっと自分で説得しないとだめだ。
「お兄ちゃん、聞いて。
私ね、お兄ちゃんがモデルの仕事を始めてから、少し遠い存在に感じてた。
私じゃ分からない悩みを抱えて、私の知らない世界にいるから。
だから、私もお兄ちゃんと同じ仕事を経験してみたいの。
……だめ、かな?」
「そんなこと……俺は望んでない。」
「そんなことって軽く片付けないで、私には大事なことなんだよ。」
「瑞希は何も分かってない。この仕事がどんなものか……」
「そうだよ。分からないから、知ろうとしてるんじゃない。」
その時、山瀬さんがコツっとテーブルを叩いた。
「はいはい、兄妹喧嘩なら外でやって。この話はおしまいよ。瑞希さん、結果は後で連絡するからね。」
山瀬さんに止められた口論は、その後も平行線のままだった。
兄が企画書を閉じて山瀬さんに突き返す。
「あら、怖い顔。でも拓真の意見は聞かないわ。瑞希さんから承諾は貰ったの。あとはクライアントが決めるかどうかよ。」
兄も山瀬さんも、一歩も引かない剣幕だ。
私が決めたんだから、きっと自分で説得しないとだめだ。
「お兄ちゃん、聞いて。
私ね、お兄ちゃんがモデルの仕事を始めてから、少し遠い存在に感じてた。
私じゃ分からない悩みを抱えて、私の知らない世界にいるから。
だから、私もお兄ちゃんと同じ仕事を経験してみたいの。
……だめ、かな?」
「そんなこと……俺は望んでない。」
「そんなことって軽く片付けないで、私には大事なことなんだよ。」
「瑞希は何も分かってない。この仕事がどんなものか……」
「そうだよ。分からないから、知ろうとしてるんじゃない。」
その時、山瀬さんがコツっとテーブルを叩いた。
「はいはい、兄妹喧嘩なら外でやって。この話はおしまいよ。瑞希さん、結果は後で連絡するからね。」
山瀬さんに止められた口論は、その後も平行線のままだった。