トライアングル・キャスティング 嘘つきは溺愛の始まり
急を要する話なので、まだ殆ど寝ている声の篤にかまわず用件を告げる。


「朝早くから、すまない。


出来るだけ早めに時間を作ってくれないか?


篤にしかできない相談なんだ。


篤と俺、瑞希の三人だけになれるところで会いたい。」




「いや、悪いけど俺……


さすがに、瑞希ちゃんと拓真と3Pする気は無いんだけど。」



ぶち。



電話を切った。携帯を壊す勢いだ。何本か血管も切れた気がする。



こんな日に限って、なんて最悪な冗談を言ってくる奴なんだ。寝起きのくせに頭の中どうなってんだ。



すぐに篤から着信があったので、用件も忘れて全力で怒鳴る。


「腹を切れっ!!今すぐに!なんってことを言ってくれてんだ!」



「ははっ。なんで武士みたいになってんの。


やだなぁ、想像しちゃった?


相変わらず短気で面白いからさー。つい、ね?


で、どしたの?」



「……電話では言いにくい用件なんだ。」



「ん?なんだかよくわからないけど、分かったよ。


午後の予定はリスケできそうだから、今日の午後で良い?」


「それはさすがに悪い。リスケするって言ったって、スケジュール立て込んでるんだろ?」


「なんとかなるから、いーよ。

その用件って、どうせ拓真が最近仕事キャンセルしまくって陰でこそこそ調べてるのと関係あるんでしょ。


あんなのいつまでも続けてたら、さすがに仕事に影響出るぞ。」


「ああ、……そうなんだ。篤にまで伝わってたのか。

それじゃ午後に頼む。悪いな。」
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