絶対、好きになれない。
カランコロン、と
下駄の鈴が静かにアスファルトで響かずに
消えていく夕暮れどき。

愛花ちゃんと手を繋いで歩いてると
次から次へと声を掛けられてしまう。

そういう時は、
愛花ちゃんが軽くあしらってくれる。
本当に彼女は言い回しが上手で感心するほど。

「あれ?叶じゃん。」

おーい、と声を掛けた先には
叶くんと幼馴染で別のクラスにいる
瀬山くんの姿が見える。

「高峰。」

あの海以来会ってなかったから
なんだか久し振りだ。

『叶くん、浴衣すてきだね。』

「ありがとう。高峰は、いつも綺麗だよ。」

「きゃー!!!!聞いてるこっちが恥ずかしいわ!叶、あたしは?あたしは?」

「安達もかわいいよ。」

「うわ、なんか感情こもってないわあ。」

わりと物静かな叶くんにも
ガンガン絡んでいく愛花ちゃん。
その絡みをみてるのは、なかなかおもしろい
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