絶対、好きになれない。
まじまじと見られる視線が痛い。
チラッと目線をやると、やっぱり目が合う。

「うん、やっぱりめちゃくちゃ可愛いね。」

肘を顎においてニコニコ笑ってる。
なんだか犬みたいな人だな。

「あんな格好して偽ってるのは、なんか理由があるんだよね?」

『はい。』

わたしは静かに返事する。

「ふうん、ま、あの格好でも可愛いけどね。俺はどっちの君も、好きだな。」

『え?』

聞き間違いだと思って顔を上げる。

「いや、だってさ、あの真面目な感じ、ーーーなのにすっごく姿勢がピンと立ってて、歩いてる所作っていうの?そゆのも綺麗でさ。わ、綺麗な子だなあって見てたわけ。」

なんかこのひと、下心を感じない。
わたしの、中身を見ようとしてくれてるひと、
そんな気が少しだけした。
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