絶対、好きになれない。
それにしても、だ。
この状況に大変困惑しております。

地味に
誰にも気づかれずに過ごそうと思ってた生活。

彼が目の前にいるだけで
注目の的なわけです。

『東雲先輩、わたし、ちょっと、いまこの場から消え去りたいんですけど。』

わたしの座ってる席の前に腰掛けて
ニコニコとわたしの分厚い眼鏡を見つめる彼。

「へ?どうして?」

廊下を見てください、と小声で言うと
あ、と鈍感なのか今頃気づいたご様子。

「注目浴びるの、嫌だったよね。退散するわ!ええと、ーーーこないだ落し物拾ってくれて、ありがとね!じゃっ☆」

最後の文だけ大きな声で言うと、
そそくさと教室から金髪頭が消えていった。
< 32 / 136 >

この作品をシェア

pagetop