さよならの時まで、笑顔で
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先生とお父さんが病室を出て行ってから、お母さんが私の手をソッと握る。




.....っ、



お母さん、震えてる...っ




私は、無言でギュッとお母さんの手を握る。




「れい、か.....っ」




小さく小さく私の名前を呼んだお母さん。




「なあに?」




急に泣きそうになったけど、それを耐えるかのように明るく振る舞う。




「れ、いか....っ」




私の名前をずっと呼ぶ。




私は、それに無償に耐えられなくなって、話を逸らす。

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