さよならの時まで、笑顔で
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「ほら、玲香」




優しい声色で、私の頬に手を添えたひーくん。




ひーくんのその声ひとつで、別にいいかなと思う私は、重症かもしれない。




徐々に顔が近づいてきて、お互いの唇が重なる寸前。




「玲香」



「なあに?」



「愛してる」



「....っ、私も...っ!」




ソッと目を閉じ、最愛の人との最後の口づけを交わす―――。




最後のキスは、甘く胸が高鳴るキスじゃなくて、
切なく、涙の味がした気がした―――。

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