オオカミ社長は恋で乱れる
「はい」

玄関を開けるとそこに長身の社長さんが立っていた。

堂々とした立ち姿に、朝と変わらず精悍さを感じる。

上質なスーツに整った顔立ち。

どうしてこんなアパートにこんなに容姿端麗な人がいるのだろう?と、通る人がいれば必ず思うんじゃないかなと邪推する。

私だってお隣にこんな人が訪問すれば、そう感じてしまうもの。

そんな私の感情は出さないように、笑顔で彼を迎えた。

「夜分遅くに申し訳ない。どうだ?怪我の様子は」

「はい、大丈夫です。消毒して絆創膏貼りましたから」

「どこだ?ちょっとそこへ座ってみてくれ」

そう言うと私を玄関の上がりかまちに誘導して座らせられた。

「・・え?」

私が腰を下ろすと社長さんはその場に座った。

背の高さの違う2人の視線が平行になる。

何とも奇妙な気持ちが湧いた。

「足の傷を見せてもらえないか?」

「は?いえ、ほんの擦り傷です。心配頂く方が申し訳ないくらいで。本当に大丈夫です」

「大丈夫かは見てから判断する。想像以上に傷が深ければ、それなりの賠償をしなければならない」

「そんな!本当に擦り傷です。ほら、この通り」

焦りながらそう答え、ワンピースの裾を膝上までめくり、膝に貼ってあった絆創膏を剥がして見せた。

まだ表面は皮が剥け傷跡は生々しいが、出血しているわけではない。

ほら!大丈夫ですと見せたつもりだったのに、目の前の社長さんは私の足首とふくらはぎに手を添えて軽く持ち上げて自分の膝の上に乗せて傷を見た。





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