オオカミ社長は恋で乱れる
初めてうちに来た時は夜遅かったので、悠も凛も寝ていて西条さんに会ってなかったけど、翌日保育園に行く時自転車を見て「うわぁー」と声を揃えて驚いていていた。

そしてその日の夕食時にまた怪我の様子を見に来てくれた時に対面して最初は2人共戸惑っていたけど、「自転車を買ってくれた人だよ」と教えるとキラキラした視線を向けて悠が「ありがと」とお礼を言った。

まだおしゃべりが苦手な凛は「へへー」と照れ笑いを見せて、そんな2人を西条さんは交互にジーッと見た後、「ああ・・」とだけ困ったように返しながら頷いていた。

何か不思議と言うか微妙な会話のようなものだったけど、悠も凛も嬉しそうにニコニコしてて。

西条さんはしばらく2人を観察するように見ていたけど、私に視線を移すと「足の痛みはどうだ?」と聞いて来た。

「あっ、全然大丈夫です」「ママいたいの?」

私の答えと悠の質問がかぶると、西条さんがすぐさま2人の前に腰を下ろして同じ目線になり、「私の車が自転車にぶつかってしまい、お母さんをケガさせて自転車も壊してしまった。申し訳ない」と頭を下げて謝った。

幼い子でも『ごめんなさい』はちゃんと理解する。

悠は「いいよー」と返事をして、凛はニコニコと笑顔を見せ続けた。

そんな2人を交互に見た西条さんは、そこで初めて柔らかな笑顔を見せた。

あの事故の時から優しい気遣いの言葉をかけてくれたことはあっても、見せる眼差しは鋭くキツイものだったのに。

こんな優しい表情するんだ・・・と、その時は驚いたものだ。
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