オオカミ社長は恋で乱れる
「西条さん・・」

「ん?何だ」

「あの・・私、こんなに豪華な所へ連れてきてもらえるなんて想像もしていなくて、私達こんな格好で来てしまってすいませんでした。大丈夫でしょうか・・・」

頭を下げて謝罪する私に、落ち着いた声が降りてきた。

「そんなこと気にする必要なんかない。この店はドレスコードはないから。今日は美味いものを食べに来たんだ。楽しんでもらえればいい」

「でも・・」

納得できず恐縮する私に、西条さんは優しい笑みを見せて更に続けた。

「それにドレスコードがある店に連れて行きたい時は前もって用意する。君に選んでもらってもいい。そうだな、そのうちみんなで行こう」

「え・・・そんな・・」

意外な言葉に驚いていると、『コンコン』とノックの音がしてドアが開き、柔らかな笑みを見せた紳士が部屋の中に入ってきた。

「いらっしゃいませ」

優雅なお辞儀と挨拶をしてくれたその人は、私や子供達に視線をゆっくり流すとニコリと微笑んでくれた。

それに返すように私もお辞儀を返す。

こういうお店に似つかわしくない私は萎縮してしまう。

そんな私にその人は話しかけてきた。

「初めまして、支配人の笠原と申します。どうぞよろしくお願い致します」

「あっ、あの・・初めまして、よろしくお願いします」

たどたどしい自分の挨拶に恥ずかしくなり頬に熱が上がる。

でも支配人さんは気にしていないようだ。

「本日はご来店頂きましてありがとうございます。優貴様にこんな素敵な方がいらっしゃったのですね。お会いできて大変光栄に思います」

そう言ってまた優雅にお辞儀をしてくれた。
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