オオカミ社長は恋で乱れる
「こら!大きい声出さない」

私が小声で叱ると、フッと笑った西条さんが隣に座る悠の頭を撫でて言った。

「そうか、悠も凛も美味しい肉がいいんだな。支配人、ハンバーグはオーダーできるか?」

「はい、ご用意できます」

「それと子供達が食べられそうなステーキを何種類か頼む。あと悠も凛も海老やイカは食べられるのか?」

「うん!」「うん!」

2人は同じタイミングでハモって答えると、支配人さんも笑顔になり子供達に「とても可愛らしいお子様ですね。それでは海鮮類も少しずつご用意致しましょう」と言ってくれた。

「君は何がいい?」

子供たちのオーダーが済むと、今度は私に聞いてきた。

その問いに私は再度戸惑ってしまう。

こういう所で何を頼んだらいいのか全く分からない。

どうしよう・・・と困っていると、「苦手なものはあるのか?」と聞いてきた。

「ありません」

そう即答することはできた。

好き嫌いなど言っていられる生活ではなかったので、何が出ても食べられる自信だけはある。

私の返事を聞くと西条さんは頷いて、視線を支配人さんの方へ移した。

「じゃあ任せるから一通り出してくれ」

そんな適当なオーダーに支配人さんは笑顔を見せてから「それではすぐにご用意致しますので少々お待ち下さい」と言って軽く会釈してから部屋を出て行った。

私は慣れないこの環境に緊張に似た感情に覆われながら、背筋を伸ばして小さなため息をついた。
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