オオカミ社長は恋で乱れる
「それでは始めさせて頂きます」

とシェフが目の前の鉄板の向こうに立って挨拶をしたとこで、店員さんが私達のテーブルに運んできたのは、トマトとホタテのサラダみたいなものだった。

『アミューズです』って言っていたけど・・アミューズって何だろう?

「いただきます」

不思議に思いながらもそう挨拶をしてフォークを手に取りまずはトマトを口にした。

すると『アミューズ?』の疑問も、トマトのあまりの美味しさに驚き感動して吹っ飛んでしまった。

えっ、何?このトマトの甘さは。

今までこんなトマト食べたことない!

まるで果物みたいと目の前のトマトを凝視してしまう。

すると「おいしい!」と言った悠の声にハッとした。

見ると悠が目をまん丸にしてまた「おいしい!」と声を上げて大喜びしていた。

凛に視線を移すとトマトばかり選んで食べている。

やっぱり子供達も分かるんだね。

喜んで食べている姿を見て、私まで嬉しくなって感動をしていると、『ジュー』という音と共にイカが焼かれている方に気持ちが行く。

目の前で焼いてもらえるってこんなにいいもんなんだなって思う。

悠も凛も釘付けで見ている。

するとイカの姿焼きだったものが細かく一口サイズにカットされていく。

そして少しずつ小さなお皿によそられたイカが、「お待たせいたしました」の声と共に私達の前に差し出された。

熱々の湯気が上がっているうちにパクッと一口頂くと、さっきとはまた違う感動が広がる。

「すっごく柔らかくて美味しい!」

思わず声に出してしまったらしい。

私の感嘆にシェフが笑顔で「ありがとうございます」と言って軽くお辞儀をしてくれた。


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