オオカミ社長は恋で乱れる
すると西条さんが声をかけてきた。

「どうした?今度は俺が食べさせてやろうか?」

そう言って一口サイズのステーキを刺したフォークを差し出してくる。

え?子供と同じことしてる・・・

なんだか可笑しくてつい笑ってしまった。

「大丈夫ですよ。ちゃんと自分で食べられますから」

「そうか?」

「はい」

私が自分のお皿のステーキを切って口に入れると、凛が西条さんに向かって「あ~ん」と口を開けてみせた。

「ん?凛が食べるか?」

「うん!たべる」

その言葉を聞くと、西条さんは凛に合わせてステーキを少し小さく切ってから口のそばに持っていく。

それを嬉しそうにパクって食べる凛。

すると続いて悠まで「ぼくも!」と言って口を大きく開けた。

「こら!2人共ダメよ、自分のお肉を食べなさい」

私が注意するも全く気にしない様子で、悠は更に「あ~ん」と言っている。

西条さんもそんな悠の口元に「ほら」とステーキを運ぶ。

「本当にすいません」

謝りながらもみんなが楽しそうで、何だか私も嬉しくなってくる。

ううん、私最近いつも楽しい。

今まで一人で悠と凛を育てて、仕事と家のことで一日が終わっていた。

でもあの事故以降何かと西条さんが気遣ってくれて、人の優しさに触れることができた。

本当に感謝という言葉では言い尽くせない。

そんなことをまた考えていると、「また手が止まってしまっているぞ。今度こそ食べさせようか?」とまた言われてしまった。

「大丈夫です」

そう答えて慌ててステーキをカットして口に入れた。

そんな私を見て笑う西条さんを私は恨めしく眺めた。

すると調理してくれているシェフが「みなさん仲がよろしいのですね」と穏やかに声をかけてきた。

「そうだろう?」

嬉しそうに返事した西条さんは、その後も機嫌よく食事を続けていた。





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