オオカミ社長は恋で乱れる
そんな絵莉の肩を森田さんがポンッと叩いた。

「よかったじゃない~」

その優しい声が私の羞恥心を少しだけ和らげてくれた。

顔を覆っていた手を外して顔を上げると、加藤さんが目を輝かせて聞いてきた。

「何々どんな人?どこで出会ったの?」

「えっと・・優しい人です」

「とこで知り合ったの?」

「道端というか・・」

「道端??」

「ナンパされたの?」

森田さんと加藤さんが驚きの声を上げたので、変な想像をされないように慌てて出勤時の接触事故を起こした時のことを話した。

あの日事故を起こした事はみんなに話してあったので、みんな「あー、あの時ね」とすぐ思い出してくれて、「その時の事故の相手?」と驚きも交えて反応してくれている。

「そうだったのねー、そんな出会いがあるなんてビックリだけどよかったじゃない」

そう森田さんが言うと、加藤さんと佐々木さんがうんうんと頷いてくれた。

森田さんも加藤さんも佐々木さんもみんな優しくていい人達で、私はとてもいい環境で働かせてもらっているといつも思う。

未婚のシングルマザーということを最初に話した時以来、その経緯について深く聞いてくることはなかった。

子供達の事はいつも気にかけてくれて、相談に乗ってくれたりもしてくれる。

子供がいる森田さんと加藤さんは『お古だけど良かったら使って』と子供服やおもちゃや絵本を子供達の成長に合わせてくれるので、本当に助かっている。

私にはとても悠と凛に満足させるようなものは買ってあげることは出来なかったから。

それに双子の幼い子を抱えていることで、発熱で保育園の呼び出しによる早退やお休みをもらう時も、「大丈夫だよ。良くなるまで側にいてあげて」と温かい言葉までかけてくれて、みんなには本当に感謝しかない。
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