オオカミ社長は恋で乱れる
「ねえ、清水さん。何か最近綺麗になってない?」

「えっ?・・そんなことないと思いますけど」

突然の同僚スタッフの発言に、絵莉は驚いて箸でつかもうとしていた里芋の煮物を滑り落してしまった。

昼休みのスタッフルーム、いつもの4人でテーブルに広げたものは様々で、コンビニ弁当が1人・サンドイッチとサラダが1人・手作り弁当が2人。

絵莉は節約のためにいつもお弁当を作って出勤していた。

スタッフの年齢は20代~40代とバラバラだけれどみんな優しく、昼休みの2時間は雑談をしながらいつも楽しく盛り上がっている。

そんな中急に『何か最近綺麗になってない?』と一番年上の森田さんに言われて驚いてしまった。

森田さんの発言に、加藤さんと佐々木さんの視線もグイッとこちらを向いた。

その何とも言えない3人の圧に一瞬身を引いてしまったけど、すぐに加藤さんの「うん、確かに」と頷きながら同調した声に、「え~何で何で?何があったの?」と佐々木さんがニコニコと興味津々な顔で聞いてきた。

「いや・・そんな何も・・」

「いい男みつけた?」

私がとりあえず否定しようとした言葉に被せて森田さんがズバリついてきた。

「「えー!!」」

ストレートな物言いをする人なので私は思わず目を剥いてしまい、加藤さんと佐々木さんは声を揃えて驚きの声を上げた。

そして再度向けられた3人の好奇な眼差し。

その圧に負けてしまい、「・・・はい」と小さな声で肯定した。

「「「キャー」」」

絵莉の返事と共に部屋中に甲高い歓声が上がった。

女子会のような盛り上がりに、絵莉は赤くなった頬を隠すように両手で顔を覆った。
< 65 / 109 >

この作品をシェア

pagetop