2度目の初恋も、君とがいい
「あたしは、鳥海日奈子!ほら、千花」


「草野……千花です」



下を向いたままならなんとか言えた。



「ははっ、前向いてほしいけどそれは慣れてからでいいや!」


「……ごめ、なさい」


「いいのいいの。誰にでも苦手なことぐらいあるって」



つまりながらでしか話せないあたしに、優しくそして明るく話してくれる今崎くんは神様みたいだった。



「ほら、お前も名前言えよ」



今崎くんが、あの彼の頭をぽんっと叩く。



「痛てぇな。八神永人(やがみえいと)」



結構いい音がした今崎くんの叩きは見事にヒットしたみたいで、頭を抑えながら名前をぶっきらぼうに言う。



「なんかふたり対象的だね」



日奈子がふたりを見比べる。

たしかに、今崎くんは明るくて八神くんはクールなイメージ。



「ってか、もしかしてだけど千花ちゃんって男嫌い?」


「……っ」


「は?」



今崎くんに名前で呼ばれて、声が出なくなってるあたしと。
なぜか怪訝そうにつぶやく八神くん。

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