2度目の初恋も、君とがいい
「ちょ、それ千花には!?」



日奈子のセリフに顔を横に振る。



「言わないで行くつもり?」


「最後の日に言うよ……言いたい言葉は言えないだろうけど」



俺が旅立つのは3月15日。
貰えたとしても貰えないとしても、前の日のホワイトデーにはなにか渡そうとしてる。

……って、いまはまだ11月だから随分先の話だけど。



「そんなぁ……」


「頼むから千花には言わないでね。俺、行く前から知られたらなんか口走っちゃいそうだからさ」



もしも、千花が寂しそうな顔なんかしたら。
〝1年後、待ってて〟って言ってしまいそうだから。
〝好きだから〟って言ってしまいそうだから。

見えない未来の約束なんかしたくない。
俺の勝手で、未来を約束なんかできない。



「俺のいない間、千花のこと頼むわ」



ずっとみたきた千花だけど。
いなくなってはどうやっても見てあげることはできない。



「……の前にあの先生とどうにかなるかもね」


「それだけは避けろよ。幼なじみだけど教師だぞ?」


「阻止しまーす」



片手をあげてる日奈子に、本当に大丈夫だろうかと不安になった。

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