極上社長と結婚恋愛
 

「そういえば、母の日だからお店の中がカーネーションで溢れてるのかと思ったけど、そんなことないんだね」

お店を見回す直哉さんに、私はうなずいた。

「母の日にカーネーションを大量に仕入れて、日付が変われば価値がないっていう売り方は、花をお金儲けの道具としてしか考えてない感じがしてあまり好きじゃないので」

もちろん、どうしてもカーネーションがいいっていうお客様には対応するけど、そうじゃなければ違うお花をおすすめしていた。

私の言葉に、直哉さんが優しく笑う。

「あずさちゃんのそういうところ、本当に好きだよ」

甘くささやかれ顔を真っ赤にすると、すかさず口元にサラダをさしたフォークを差し出された。

こんなに照れて動揺しているのに、さらに「ほら、食べさせてあげるから口開けて?」と容赦なく甘やかされて涙目になる。

「直哉さんって、意地悪ですよね」

拗ねた口調で言うと、長い指の背で熱くなった頬をなでられた。


 
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