極上社長と結婚恋愛
「あの……、ブーケ気に入らなかったですか?」
ブーケを手にした桜木さんの微妙な反応に不安になってたずねると、彼女は首をひねった。
「悪くはないんだけど、なんだかあずさちゃんらしくない」
はっきりしたダメ出しではないけれど、満足はしてもらえてない。
それを察してショックを受ける。
「すみません……! 急いで作り直します!」
慌てて言うと、桜木さんはかぶりをふる。
「大丈夫。出来が悪い訳じゃないし、これはこれで素敵だよ。急に頼んだのに対応してくれてありがとう。あずさちゃん顔色が悪いしちょっと疲れてるのかもしれないね」
文句を言うどころか逆に気遣われて、自分が情けなくなってうつむいた。
自分の靴先を見下ろしながら、いつか母に言われた言葉をぼんやりと思い出す。
『あずさはその時の気分が生ける花に出ちゃうから』
直哉さんと暮らすリビングに飾ったトルコギキョウとリキュウソウを見ながらそう笑われた。
今の自分の中には、あの時とは正反対の感情が渦巻いてる。