極上社長と結婚恋愛
「触られて驚いちゃうくらい、気にしなくてもいいと思うのに」
夏美の言葉に、私は首をかしげてあいまいに笑った。
知り合い程度の相手に触れて驚かれたなら、まぁ仕方ないと許してもらえるかもしれないけど、それが恋人だったら気にならないはずがない。
――『お前、俺のことを汚いとでも思ってんのかよ!!』
耳の奥に低い怒鳴り声がよみがえって、ぎゅっと目をつぶった。
あんなふうに相手を怒らせてしまうなら、恋人なんて作らないでひとりでいたほうがずっといい。
「あれ、なにこの分厚い雑誌」
そう問われ顔を上げると、夏美がレジカウンターの奥に置いてあった一冊の本をぺらぺらとめくっていた。
「あぁ、この近くで部屋を探してて」
近くの本屋さんで買ってきた賃貸情報誌だ。
最初はネットで探していたけれど、気になった物件がどこあったのか見失い、見つけられず困っているうちにあっという間に時間がすぎての繰り返しで、諦めて雑誌を買ってきた。
夏美は私がぺたぺたと付箋をはりつけたその雑誌を、珍しそうに眺めながら聞いてくる。