極上社長と結婚恋愛
なんと答えていいのか悩んでいると、直哉さんが頷く。
「わかった、じゃあ触らないように気を付けるから、安心していいよ」
一緒に暮らすから、まず最初に私の嫌がることはしないと宣言して安心させてくれたんだろう。その気遣いにほっとして、勇気を出して首を横に振った。
「あの、嫌じゃないです」
「無理しなくていいんだよ」
少し驚いた表情の直哉さんに、私は言葉を続ける。
「本当に、触られるのが嫌っていうわけじゃないんです。ただ、過剰に大きな反応をしてしまうから、触った相手を不快にさせてしまうのが、嫌で……」
「相手を怒らせたことがあるの?」
柔らかな口調で問われ、うつむいて頷く。
「高校の時に付き合っていたひとつ年上の先輩に……」
「うん」
口ごもると、先を促すように優しい相槌が返ってきた。
「その、キスをされそうになって思わず振り払ったら、すごく怒らせてしまって」
はじめて彼の部屋に行き、緊張していた私の両肩を掴んだ先輩。指に込められた力が強くて、掴まれた肩が痛くて、驚いて体が震えた。
そのままキスをされそうになり、反射的に振り払って拒んでしまった私に、先輩は大声で怒鳴った。