極上社長と結婚恋愛
「朝ですよ」
それでも目を開けてくれない直哉さんに、小さくため息をつく。
どうしよう、と戸惑いながら少し部屋の中をうろうろして、でも起こさなきゃと自分に気合を入れる。
眠る直哉さんのことを覗き込み、手を伸ばす。
触れる寸前で少しためらってから、恐る恐る肩を叩いた。
「直哉さん、朝です」
自分の丸みを帯びた細い肩とは違う、たくましい筋肉としっかりした骨の感触。
パジャマ越しに伝わる体温にドキドキしながら声をかける。
少し肩をゆすると、声の主を探すように長い腕がゆっくりと持ち上がる。
空をさまよった腕が私の腰に触れると、一気に引き寄せられた。
「きゃっ……!」
小さな悲鳴を上げた時には、私はもうベッドの中に引きずり込まれていた。
肌触りのいいシーツの隙間で、たくましい直哉さんに抱き寄せられ、パニックになる。
「な、直哉さん……っ!」
私の胸の中に抱きしめて、それでもまだ目を閉じて寝ぼけている直哉さん。
真っ赤になりながら必死に目の前の胸を叩くと、ようやく腰に回っていた腕から力が抜ける。