cafe レイン


「いつものでいいですか?」

「……はい、お願いします」

「かしこまりました」


そう言って、オーナーは料理を作り出す。私はというと、心臓がバクバクとしていて現状がよく理解出来ていなかった。
震える手でケイタイを取り出し、律ちゃんにメッセージを送った。


【ヘルプ。カウンター前】


送ってから、我ながらなんて支離滅裂で意味のわからない文章だろうと思った。
案の定、律ちゃんからは【解読不能。状況求む】なんて返信が来て苦笑した。


【レインに来たらオーナーにカウンター前に案内されて動揺中です】


そう送ってから、律ちゃんは相当驚いたのだろう。
【ま】とだけ返信が来たから、思わず吹き出してしまった。


【まじで~~!! そりゃチャンスじゃない!! 頑張れ! 後で報告よろしく】


それと一緒に送られてきた親指をグっと立てているスタンプ。


「楽しそうですね」

「えっ」


コーヒーを目の前に置いたオーナーがそう言ったから、私はバッと顔を上げた。
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