ハイスペック男子の憂鬱な恋愛事情
電流が走った。

ドクドクと波打った血流が身体中を巡って、世界の色彩が1つ、確実に増えた。


「んきゃーーーー!!!何この子何この子何この子ーーーー!!!」


描かなきゃ!描かなきゃ‼︎描かなきゃ‼︎!

これは何色?わからない!
もっともっと声を聞かなきゃ!


彼の身体に飛びついて絞め上げれば、マヨネーズ方式で声を出すかも、とか、そんなことは無意識だったと思う。


呆れるような面白がるようなしょうこちゃんの声がして、とりあえずの建て前引っさげて一度私を制止してくる。

けど、しょうこちゃん。

そんなことくらいで止まれるならハナから飛びついたりなんかしないって。


「ヤだヤだ!!この声帯は私のモノだよ!!」

ガブッと!人様の首(しかも真正面)にかじりつくなんて、人生で初めての経験。

多分、ご飯中に餌を取り上げられた犬が気を立てた行動と同じようなものだと思う。

これも無意識。

でも、自覚はした。

まけぃたの声は、私を狂わせる。



「おい、輸血させろ。」


< 13 / 144 >

この作品をシェア

pagetop